新発売に寄せて

子供の頃からカレーが大好きで、毎日カレーでも飽きないほどでした。昔は、友達同士の誕生日会にそれぞれの家庭にお呼ばれされる風習があり、まず必ずと言って良いほどカレーが出てきたものです。サラサラなもの、ドロッとしたもの、いろいろなカレーに触れ、どうやって作るのだろうなどと興味を抱くようになったのも小学校中学年の頃です。中学生の時の文集には、将来カレー屋になる! とそれなりの決意を書いたのをはっきり憶えています。

大人になり、趣味である旅行に出かけても、そこのメニューにカレーがあれば必ず注文し、全国のカレー屋さん巡りにも相当、時間とお金を費やしました。

滞在先のジャマイカで、この底抜けに明るい雰囲気とカレーを融合させて、東北にはないようなスタイルの店をやってみたい、そう覚悟を決めてから脱サラまでそう時間はかかりませんでした。

ただ、私にはある理念がありました。それは、「世界で2番目に美味しいカレー屋になる」ということでした。どういうことかというと、やはりその人にとって1番美味しいのは、「家庭のカレー」なのです。いつ、どんなシチュエーションでもその人が食べて育った、お母さん、(お父さん)の味には絶対敵わないのです。

では、家庭では出せない演出、味は?と考えた時、まず実施したのが、お客様に選択の余地を与えた、ということです。辛さも異なる数種類のカレーを用意し食べたいカレーを、しかも2種類選んでいただくスタイルを採り入れました。

味に関しては、地元野菜と海外のスパイスの融合を図り、特にジャマイカから輸入するスパイスにこだわりました。また、スパイスを入れる前のベースとなる仕込みにはかなりの時間をかけ、妥協することは絶対ないよう注意してきました。どんなに気品ある素晴らしいスパイスを使用しようが、ベースがしっかりしていないカレーは商品として失格です。

多くの方々は、スパイスの種類や分量がその味の価値を決めるとお思いでしょう。しかし、私は違います。ベースがその価値の7割を決めてしまう、と考えています。したがってそこに手間暇をかけ、こだわるのです。

そして、出来上がったカレーは、時間の経過によりスパイスの風味が弱まったり、カレーの粘度が異なったり、あるいは気候によっても多少の変化が出てきます。一番美味しい状態でお客様に食べていただきたい、という思いから必ず微調整をして提供します。普通の店より若干提供までにお時間をいただくのはそのためです。

ライスも、創業以来ターメリックにこだわってきました。美容やからだ、特に肝機能に抜群の効果があるとされるターメリックは万能のスパイスです。カレーのみならず、ライスにも含ませることにより、二重の効果が得られるということを推奨してまいりました。

この度のカレーパンに使用するカレーフィリングは、ライスではなくパンに合うもの、更に冷たい状態でも美味しさを感じる商品に仕上げなければならないという、全く未知の分野へのトライでありました。何度も試行錯誤を繰り返し、商品化しても大丈夫、というレベルに達することができたのです。

スパイスにまみれて25年、私にはカレーの黄色い血液が流れています。それはまだまだ美味しさを探求し続け、更にクオリティを高め、皆様にご満足いただけるようこれからも精進して行かねばならぬ、という決意の表れでもあります。

香り高い、YELLOW MAGICな人生をこれからも満喫したい、そう思っています。

ROYALジャマイ館  石川 悦哉

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